エイベックス

コロナは私に多くの変化をもたらしましたが、一番大きな変化はリフレッシュの仕方だと思います。コロナ前はストレスを感じたことがありませんでした。それは「遊びのように仕事をこなしていた」からではなく、ストレスを感じない仕事のやり方をしていたのだと、最近気が付きました。コロナ前は、東京、名古屋、博多、ソウルなどへ月の半分以上動く生活をしていました。これがストレスを生まない仕事法でした。動く生活は移動時間を含めての一人で自由に過ごす時間が多くあり、その時間を利用していろんなことを考えたり、コラムを執筆したり、勝手気ままに過ごすことができました。それが今は毎日Zoomで六つも七つも会議に参加して、時間から時間のスケジュールをこなしています。たまに行く東京出張が楽しくて仕方ないのは、日頃のスケジュールに遊びの時間がないからなのでしょうね。
コロナが終息する今年の目標は、スケジュールに余裕を持たせる、自分にしかできない仕事以外はしない、この二つを目標にしようと考えています。最近、動けない生活の中で新しいリフレッシュ法を見つけました。それがNetflix(ネットフリックス)とYouTubeを見ることでした。Netflixはまたの機会に書くとして、最近のお気に入りYouTuberはエイベックス松浦会長です。昔なら講演を聞きに行かないと聞けない話が今は簡単に聞けるようになりました。『起業のきっかけはアルバイトをしていた貸レコード屋の社長から「一緒に会社やらないか?」と誘われたから。最初に出店した場所は貸レコード屋が四店舗もある激戦区でした。なぜわざわざ激戦区に出店したのかは、そこに客がいるのがわかっていたからとのことでした。あとはその四店舗に勝つにはどうすればよいかを考えるだけ。松浦氏は同業者に勝つために、どう差別化を図るかを考えました。毎日のように喫茶店へ行きノートとペンに、新たな企画や販促法を考えては書き記して実践することを繰り返しました。やがて近隣にあった四店舗は全て無くなり、地域のナンバーワンになりました。それでも次に何をすればもっと大きくなれるかを考えました。地域密着の商売は売り上げが青天井で伸びていくことはない、ならば伸ばしていくには多店舗化するか、乱立していく貸レコード屋に何かを売るか、この二つのどちらかだと。多店舗化で大きくなった成功事例はTSUTAYAでした。松浦氏はもう一つの方法の他の貸レコード屋にものを販売する方を選びました。当時の貸レコード屋には音楽に詳しい人があまりいなかったので、輸入盤の仕入れを代行し、内容を解説するコメントを書いて貼ってあげると評判になり、ウチの店でもやってほしいと多数の依頼があった。毎月仕入れ代として数万円をもらって今で言うサブスクのようなものをやりました。ある程度の売り上げが見込めないと、やめられてしまうので、真剣にやりました。五十軒ぐらいの貸レコード屋からの依頼がきて感じたことは「これは商売になる。別会社を作ろう」。これがエイベックスの前身でした。
輸入盤の卸の会社に軸足を置くと、そこでも輸入盤卸会社同士の戦いがありました。そこでまたどうすれば勝てるかを考えました。あまり差別化できない輸入盤卸事業でしたが、ライバル社が真似できないことを探しました。たどり着いた企画がエイベックスでセレクトした曲をイタリアのレコード会社に権利を獲らせてセレクト盤を作ってもらうことでした。作成したCD一万枚は全て買うから、他の輸入レコード卸会社には売らないようにと交渉しました。企画は大当たりしてドンドン売れました。売れると儲かり資金ができました。次に考えたのは輸入盤のセレクトで良い曲をたくさん選んだ「スーパー・ユーロビート」を制作しました。ある時から輸入盤ではなく、自分たちの曲に入れ替えることを考えました。自分たちの権利を持った曲を販売するということはレコード会社になるということでした。当時のレコード会社はSONY、東芝、松下など大手家電メーカーの子会社だったので少し悩みました。周りの人から散々やめろと言われましたが、やってしまいました。その後、ジュリアナ東京ができブームにのりジュリアナのCDを作ったらバカ売れしました。その次は小室哲哉氏と出会いがあり、またまた小室氏のダンスミュージックはバカ売れし、TMネットワーク~TRFへと続いていきます。創業期はやることなすことがほぼ当たり順風満帆でした。その後上場し、得た上場益五十億円を詐欺で騙された時の話では「苦い経験あるんですね」の一言に「苦い経験ばかりだよー」と返答していました。また、小室哲哉氏がある日突然逮捕されて、六億五千万円の弁済を肩代わりして、刑務所行きを免れた話では、「小室さんのおかげでエイベックスが大きくなったのは間違いないし、五年も刑務所に入ったら才能ダメになるだろうな。俺にできることはそれしかない」と。』
今回の松浦氏のYouTubeは本当に勉強になりました。共感を覚えるポイント、自分に足りていないポイントなど大きな気付きとなりました。エイベックスの成功の軌跡で学んだことは、成功ではなく大成功するために必要なことでした。大成功するためには「時代の流れに乗れる業種を選ぶ」「同業者が真似できないぐらいの差別化を図る」「常に考える、自分しかできないこと以外は全て任せる」でした。コロナ禍でライブやコンサートができない状況、CDが売れなくなり低迷する中で、青山のエイベックス本社を売却、社長を退任し会長に就任したこと、YouTuberを自分自身で体験、体感していること、そんな状況の中で、松浦氏は次の時代をどう捉え、どんな手を打つのかを楽しみにしたいと思います。

2022/02/01