君たちはどう生きるか  VOL.1

最近読んだ漫画「君たちはどう生きるか」に大きく心揺さぶられたので紹介させていただきます。原作者は吉野源三郎氏。今から80年前、1937年に新潮社から刊行された児童文学を羽賀翔一氏が漫画としてリニューアルしました。主人公は15歳の少年・本田潤一、あだ名は「コペル君」。父親は3年前に他界して、母親と暮らす。母の実弟「おじさん」と仲が良く、漫画ではコペル君の体験とおじさんのノートが交互に登場するつくりになっています。ある日2人で出かけたデパートの屋上。コペル君には屋上から見える人の流れが、まるで水の流れのように見えました。「目を凝らしても見えないような遠くにいる人たちだって、世の中の大きな流れを作っている一部、もちろん近くにいる人もおじさんも僕も」。自分の都合だけで捉える狭い世界から「広い世の中」の中にいる自分を見つめ直します。おじさんは、地球が宇宙の中心という天動説から、地球が太陽の周りを回っているという地動説を唱えた、コペルニクスのような発見だったとノートに書き記します。昔の人はみなコペルニクスが地動説を唱えるまで、太陽や星が地球の周りを回っていると信じていました。これは、一つはキリスト教の教会の教えで、地球が宇宙の中心だと信じていたせいもありますが、もう一歩深く考えると、人間はいつでも自分を中心としてモノを見たり考えたりする性質を持っているためなのです。ところが、コペルニクスがどうしても説明のつかない天文学上の事実に出会い、頭を悩ました末、思いきって地球の方が太陽の周りを回っていると考えてみると、今まで説明のつかなかったことが綺麗な法則で説明がつくようになりました。その後ガリレイやケプラーが研究を続け、今日では地動説が当たり前のことになりました。子供の頃は誰しも天動説のように自分を世の中の中心において物事を考えます。それが、子供から大人へと成長するにつれて大きな世の中で生きる自分を理解するようになります。

 
私が昔熱狂したキャロルという伝説的なバンドを思い出しました。キャロルはキャバレーでのバンド演奏を経てメジャーデビューを果たし、大ヒットを飛ばしますが、2年半後に電撃的に解散しました。そのリーダーが矢沢永吉でした。矢沢は「本気で成功する」と心に決めて広島から上京しました。他のメンバーは好きな音楽を楽しみ、デビューすることを最終目的に考えていたのだと思います。当たり前ですが音楽に対する姿勢も将来についても真面目に考えている矢沢とでは、ずれが生じてきます。矢沢はやっと軌道に乗ってきたので解散はしたくなかった。しかし、他のメンバー主導で解散が決まりました。矢沢は「俺はスーパースターになってやる」と、言葉通りの生き方をし、他3人とは大きく生き方が違っていきます。

 
天動説的な生き方をするか、地動説的な生き方をするかで人生は大きく変わります。大きな視野を持ち、目標を掲げ、自分自身を高めていくと、知らず知らずのうちに目標や夢のあり方が変わり、価値観や生き方が変わっていきます。同じように生きていても、普通の人たちに見えないものが見えるようになり、存在感が増し、周りから浮いた存在になることもあります。そこで大事なことは、周りの人に間違っていると批判されようが陰口を言われようが自分の考えを信じ貫き通すことです。それこそが人が生きる上での大義だと思います。みんなで一つの輪になって肩を寄せ合う生き方は、楽で小さな幸せがそこにはあるのかもしれません。しかし、未来こうなりたい、ああなりたいという願望のある人は、そんな輪を叩き壊して、羽ばたかなければなりません。周りの人が自分に対してどんなことを思っていたとしても、それは、自分の人生とは関わりのないことだと思うから…。

 

 

2018/02/01