君たちはどう生きるか VOL.4 ~ナポレオン~

主人公コペル君の友人ガッチンは、上級生から目をつけられ、強くなりたいという願望からナポレオンに強い憧れがありました。そして、コペル君たちがおじさんにナポレオンのことを教わる場面が書かれています。あまりに有名なフランスの英雄ですが、私はこの本で知るまで、深くナポレオンを知る機会がありませんでした。

 

ナポレオン・ボナパルト(1769~1821)、コルシカ島の落ちぶれ貴族の12人兄弟の4番目として生まれる。幼少期ナポレオンは無口で友達の少ない小柄な少年。フランス革命期の1784年パリ陸軍士官学校入学、24歳トウーロン島要塞を攻め落とした活躍により少将となる。その後、有名なアルプス越えの勝利を皮切りに、どこへ行っても勝利、勝利、勝利。フランスへ帰ってきたときにはパリ中の人気を一身に集めて凱旋将軍となっていた。少将からわずか10年、35歳で皇帝へと上り詰め、ヨーロッパ大陸はほぼナポレオンに服従していた。この時ナポレオンは文字通り王様の中の王様だった。

 

ナポレオンはとにかく強かった。わずか10年の間に一人の貧乏将校から皇帝の位まで一息に駆けのぼってしまった。国内の問題も外交も引き受けただけじゃなく大戦争を三つも四つもつづけざまに指揮した。ナポレオンは、どんな状況でも決して屈することがなかった。
一人の人間が、これほどまで強く、これほどまで活動的になれるものかと思うと、誰だって驚嘆しないではいられない。ゲーテのように、人道と平和とを愛し、人類の進歩に大きな希望をつないでくれた文豪でさえ、ナポレオンの話が出ると、いつもその湧き出るような活動力と天才的な決断力とを心から感嘆して語っていたくらいだ。

 

 

しかし、絶頂のナポレオンはわずか数年で破滅へと落ちていきます。ロシアへの遠征の大敗を機に、勢力範囲の国々が次々と反旗を翻し、戦いに敗れて捕らえられエルバ島に流された。エルバ島から脱出し、兵を集め、最後の決戦に挑むがこれも敗北に終わる。ナポレオンは捕虜となり、イギリス海軍によりイギリス本国へつれてこられた。

 

 

イギリスに着いて以来、ナポレオンはずっと船室にとじこもったまま暮らしていたので、波止場に集まった人々は彼の姿を見たいと思っても見ることができなかった。ところが、ある日、ナポレオンは久しぶりで外の空気に触れたくなり、とうとうその姿を甲板にあらわした。
思いがけず、有名なナポレオン帽をかぶった彼の姿を、ベルロフォーン号の甲板の上に認めたとき、数万の見物人は思わず息を呑んだ。今まで騒ぎ立っていた波止場が一時にシーンとしてしまった。そして、その次の瞬間――、数万のイギリス人は、誰がいい出すともなく帽子を取って、無言で彼に深い敬意を表して立っていたのだ。
戦いにやぶれ、ヨーロッパのどこにも身の置きどころがなく、いま長年の宿敵の手に捕らえられて、その本国につれてこられていながら、ナポレオンは、みじめな意気阻喪した姿をさらしはしなかったのだ。とらわれの身となっても王者の誇りを失わず、自分の招いた運命を、男らしく引き受けてしっかりと立っていたのだ。
そして、その気魄が、数万の人々の心を打って、自然と頭を下げさせたのだ。

 

 

流星の如く現れた場面と、捕虜となって囚われた場面、どちらも同じナポレオンの人生です。人々から見ると2つの場面でナポレオンの境遇は違って見えたのかもしれません。しかし、ナポレオンは自分の使命を、その時、その場面で果たしたに過ぎなかったのでしょう。時間があればナポレオンの残した功績を勉強したいと思いました。

 

参考文献:原作 吉野源三郎 漫画 羽賀翔一『漫画 君たちはどう生きるか』マガジンハウス,2017

 

 

2018/05/01