Column / 社長コラム 社長コラム

2015.07.01

先人に学ぶ知恵

先日、所属するロータリークラブで良い話を聞くことができたので、ご紹介させていただきます。
戦国時代の3武将の性格を表すお馴染みの歌があります。「鳴かぬなら 殺してしまえ ほととぎす」は織田信長。「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ほととぎす」は豊臣秀吉。「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ほととぎす」は徳川家康。では、「鳴かぬなら それもまたよし ほととぎす」と詠んだのは誰でしょうか。経営の神様と名高い松下幸之助です。幸之助さんは「自分は信長、秀吉、家康より偉い」と側近社員に言っていたと伝わっています。「信長、秀吉、家康では誰が一番偉いと思う。信長は偉いな、うつけと言われながらも今川義元を桶狭間で破った軍略の天才、常識にとらわれない発想の持ち主や。けど、秀吉はもっと偉い、信長の悪かったところを学んで、周りへの気遣いを忘れない”人たらし”で、百姓から天下人へと登りつめた。だから、信長より秀吉が偉い。けどな、家康はもっと偉い。自分の代だけで栄華が終わった秀吉の良いところ、悪いところを学んで、江戸幕府が未来永劫まで続く仕組みを考えた。だから江戸幕府は260年も続いた。だから秀吉より家康の方が偉い。けどな、信長よりも、秀吉よりも、家康よりも実は僕の方が偉いんやで。だって、僕はな、信長と秀吉と家康の良いところを勉強して経営に活かしてるからな。」さすがに経営の神様の自慢話は含蓄があります。しかし、まだ続きがあります。「けどな、君の方がもっと偉くなれるんや。信長と秀吉と家康と僕の『良いところ』も『悪いところ』も利用するだけ利用できるんやから。そうすれば、ゼロから始める人よりも、早く先人を乗り越えられるやろ。」偉くなるために先人の知恵を利用しろと社員を叱咤激励していたそうです。
ニュートンはこんなことを言っています。「私が遠くを見ることができたのは、巨人たちの肩の上に乗っていたからです。」これは、自分の発見はガリレオやコペルニクスなどの先人たちの研究があればこその意味です。ニュートンのような天才でも何のてらいもなく先人たちに学んでいて、そしてそれを公表していました。ビスマルクは賢いものは「歴史」に学び、愚かなものは「経験」に学ぶと言っています。自分の経験できることは限られています。一方、「歴史」は失敗と成功のオンパレードです。謙虚に歴史に学ぶ方が賢いということです。最後にもう一つ、「過去から学び、今日の為に生き、未来に対して希望を持つ」。アインシュタインの言葉です。
自分自身の仕事や人生を振り返ってみると、自分で考え実行したことよりも、先人の知恵を真似て実行したことの方が上手くいくことが多かったように思います。天才たちの話では、天才はポッと、単独で生まれるのではなく、天才は天才の知恵を上手く活用できた人が天才と言われるような人になるようです。誰から知恵をもらうのかが、過去は大事な時代だったのですね。最近はインターネットやフェイスブックなどで簡単に有益な情報や先人の知恵を利用できる時代になりました。しかし、情報が多すぎて選択する側の考え方や心のあり方、価値観などが情報収集に反映される時代になったようにも思います。また、集めた情報や知恵をどう使うのかが大事な時代なのだと思います。結局、人ですね。
10年後どうなっているかより、今誰と出会うのかが大事ですね。結局、人ということですね。