Column / 社長コラム 社長コラム

2018.12.01

未来の君たちへ

先日、靖国神社へ参拝してきました。靖国神社の中にある遊就館には大東亜戦争で亡くなった特攻隊員の遺書が展示されていました。やりたいこともたくさんあっただろうに、 その全てを犠牲にして散っていった命がある事実を深く受け止めました。それにひきかえ 今の日本では3万人の自殺者が毎年でていて、しかも特攻隊で亡くなった同世代の自殺者 が急増している事実を知り「これでいいのか日本」と憂いを感じています。遊就館にあっ た遺書の中に「未来の君たちへ」という題材の私たちに向けた遺書がありました。愛する 家族だけではなく、未来の日本人のことを案じて散っていった先人がいたことを思うと、 自分自身の生き様を少し恥じる気持ちがあります。私は物心ついた頃から、「豊かに生きた い」を人生の目標においていました。だから、起業動機も、それを「満たしたい一心」た だそれだけだったように思います。食事ぐらいはいつでも好きなものを食べたい。洋服ぐ らいは好きなものを好きなだけ買えるようになりたい。好きな車に乗り、大きな家に住み たい。そんな思いもあって豊かに生きることができるようになりました。しかし「衣食足 りて礼節を知る 衣食足りすぎて恥知らずになる」このような例えになるのかもしれませ ん。時代は流れゆくもの。自分のことだけを考え、難しい話はさておいて、臭いものには 蓋をする。そんな時代に生きながら、少しだけ、少しだけでいいから感じてみたい。そん なに遠くない過去の歴史の中に、私たちに自由を残してくれた先人たちがいたことを。そ のおかげで安心して暮らせる自由がある。食べるに困らない自由がある。仕事を選ぶ自由 がある。夢を持つことの自由がある。そんなことを忘れないでいたい。いや、忘れてはい けない。

昭和 19 年 6 月 15 日ついにサイパン島が陥落。B29 による日本本土の直接爆撃が可能とな った。さらに日本と南方の石油をつなぐ戦略的な要所であるフィリピンの攻略に米軍が動 いた。フィリピン本島。部下「大西中将、サイパンが陥落しました!米軍が来ます。」大西 「そうか、皆を招集しろ!」フィリピンを守る航空艦隊の戦力零戦、わずか 40 機。これだ けの戦力でどうしようもないことは明らかと思われた。大西「サイパンが陥落した、ここ は爆薬 250 kg抱かせて体当たりするほかに確実な攻撃方法はないと思うが……」隊員「や らせてください!」この時、全員が両手を上げてこの作戦に賛成した。当時の隊員たちの 士気はそんなものであったのだ。神風特別攻撃隊の編成である。特攻の父と呼ばれた大西 中将が特攻隊編成直後涙ながらに、隊員たちに語った言葉がある。「特攻は統率の外道であ る。」「もう戦争は続けるべきではない。」「ただアメリカを本土に迎えた場合、歴史に見る、 インディアン、ハワイ民族のように闘魂あるものは次々に各個撃破され、日本民族の再興 の機会は永久に失われてしまうだろう。」「しかし、特攻により、敵を追い落とすことができれば、七分三分の講和ができる。」「そのために….特攻を行ってでもフィリピンを最後 の戦場にしなければならない。」「しかしこれは、九分九厘成功の見込みなどない。」「では、 何故見込みのないのに、このような強行、愚行をするのか?」「ここに信じてよいことがあ る。」「いかなる形の講和になろうとも日本民族がまさに亡びんとする時に当たって、身を もって防いだ若者たちがいたという歴史の残る限り 500 年後、1000 年後の世に必ずや日本 民族は再興するであろう。」この言葉を胸に隊員たちは飛び立っていった。 (YouTube“神 風特攻隊「命の使い方」~日本人として知っておきたいこと~”より)

私たち日本人が大切にしてきたものが、私たちの手によって壊され、今の日本人に一番 足りないものになっています。武士の世の話、戦国乱世が終わり戦うことによる戦果、成 果を上げる場を失いました。江戸時代、何もすることがなくなった武士たちを農民や商人 の上に立たせました。田畑を耕すわけでもなく、ものを売るわけでもない。彼らが身につ けたものは儒教による道徳でした。儒教には仁・礼・信・義・智という徳目が示されてい ます。それが武士道となり、これらを習得して人を育てることに従事しました。つまり、 道徳心を養うことで、人の上に立ち人を育てる文化・習慣を培いました。だからこそ、日 本は世界で一番長く続く国なのかもしれません。その心や日本人としてのアイデンティテ ィーを取り戻すために何をすれば良いのでしょうか。最近少しだけ、守るべきもののため に生きる尊さのようなものを理解できるようになりました。今後守るべきものの枠を広げ て、未来の日本や日本人のために何ができるのか、何が残せるのか、自分の持ちうる力を 使って生きていければと考えます。

参考資料 upmaron. “神風特攻隊 「命の使い方」~日本人として知っておきたいこと~”2011.YouTube, URL: https://youtu.be/5w5TC4ppsIE (2018/11/12 閲覧)

2018/12/01