Column / 社長コラム 社長コラム

2016.02.01

留学

一昨年の夏、次男がカナダへ留学しました。留学するまでは公立高校へ通っている特徴のない普通の子どもでした。朝起きて学校で授業を受けて、サッカーの練習をして帰って来る。休みの日は昼近くまで寝て、ダラダラと1日を過ごし、たまに中学の頃からの友達たちと遊びに行く。そんな次男の日常を見ていて「これでいいのだろうか?」と感じていました。ある日、私に反抗的な態度をとった次男を叱ったことがありました。「誰のおかげで三度の食事ができ、誰のおかげで学校へ通えるのかを、考えたことがあるのか。嫌ならこの家から今すぐ出て行け」と。次男は少し泣いていました。その日以降、次男のために何ができるかを考えるようになりました。今のまま並みの高校へ通い、並みのサッカー部で練習し、並みの友人と遊び、並みに親に反抗し、並みの生き方をしていると、並みの人生しか生きることができない。どのような人生を歩ませればいいのか、何か得意なことはないのか、どうすれば自分の未来を考えるようになるのか。私の結論は「考えなければ生きていけない環境」を与えること、それが海外留学でした。

息子をカナダへ留学させている友人に協力してもらい、一昨年のゴールデンウィークを利用して次男をカナダへ連れて行き、2、3日現地にいる友人の息子に預けました。数人の留学生たちと綺麗な街の散策をしたり、食事をしたり、船に乗りホエールウオッチングなどをして楽しく過ごしていました。私も兄である長男の人生と次男の人生を比較しながら、どう生きるか、どう生きたいかをアドバイスしました。しかし、私の言葉が心に響いている様子ではありません。カナダ留学はしたくないという決断になるのだろう、と思っていました。旅の終わりに「カナダドルがあれば出しなさい。留学生たちにあげるから」と言うと、次男から「また、来るかもしれない」と意外な答えが返ってきました。あとでなぜ留学する気になったのかを尋ねると、「お兄ちゃんには負けたくない」と答えました。私は妹と2人兄妹で上にも下にも男兄弟がいないのでわかりませんでしたが、男兄弟はライバルなのだと改めて感じた旅となりました。

あれから1年半が過ぎました。次男の日常は一変、生きていくために考えなければならない環境となりました。辞書を片手に英語の授業を聞く、帰ってきて課題をする、食事を作ってくれるホストファミリーと一緒に食事をしてお礼を言う。何ひとつ不自由のない生活から、すべて自分で考え、自分で行動する環境へ。当たり前ですが、顔つきがしっかりとしてきました。与えられたお金で生活すると、お金に対する感覚もしっかりしてきたように思います。この選択がきっと運命を変える選択になるでしょう。
あなたの運命は今の習慣でつくられる。今のあなたの習慣を見つめると、未来のあなたが見える。「いつか習慣を変えようと思っている」「いつか誰かがきっかけを与えてくれるはず…」「いつか」はいつまでもこない。自ら運命をつくっていくには、今決めるしかない。まずは、小さい習慣から、少しの間だけでも始めてみよう。


2016/02/01