Column / 社長コラム 社長コラム

2020.03.01

矢野燿大2・チャレンジ

阪神タイガース・矢野燿大監督の後援会を立ち上げ4年が経ちました。設立当初、どんな後援会を作ればいいのか、どんな活動をすれば盛り上げることができるのか、そんなことを よく考えていました。行き着いた答えは、個人会員として応援していただける会員は有難い ことですが、生涯、矢野燿大の支えとなる法人会員も集めたい、その法人会員と矢野監督と の繋がりを深めたい、と考えました。忙しい中、矢野監督には毎月 1 度日程をいただき後援 会主催で法人会員との懇親会を開催しました。ファンとして遠くで見ていた時は良かった けど、実際に身近で話をしたり交流をすると、その人の、人となりの問題で応援する気持ち がなくなったという話はよくある話です。しかし、矢野監督の場合はどんなにその日が試合 後で疲れていようが、参加人数が多かろうが、いつも笑顔で接するサービス精神、経営者目 線での話が盛り上がる等、参加した皆さんがより一層ファンになってくれます。プロ野球選 手〜監督と華やかな世界で活躍してきたのに、偉そうなところや非常識なところが微塵も 見当りません。身近でお付き合いをさせていただき、いつも見習わないといけないなと、感心させられます。

この 4 年の軌跡を振り返ると、2016 年金本監督の元、バッテリーコーチ就任、2018 年 2 軍監督就任・優勝、2019 年 1 軍監督就任・最下位から A クラスへ。2 軍監督の頃から進化 が始まり、今も尚、進化し続けているように感じます。元々、監督には教師になりたい、と いう夢がありました。2 軍監督という役割は、元来の勉強好き・指導好きという性格と適合 しました。その上、元々考えていた「超積極的」野球理論を試す絶好の機会となり、毎日が 楽しくて仕方なかったようです。結果、その年にタイガースは 2 軍優勝を果たすことがで きました。監督の喜ぶ姿を見て、応援する私たちもとても嬉しかったことを覚えています。 監督との会話で、いつも感心させられるのは、選手を指導する熱心さや情熱です。さすがだ な、と思えたことをいくつか紹介させていただきます。

まず「伝える力」です。いつも選手たちにどう伝えるかを考え、言葉を大事にしています。 プロになるような選手たちは、当たり前ですがプロに入るまでは一流の道を歩んできてい ます。その一流にあれこれ技術的な指導をしても心の扉は開きません。選手たちの心の扉を 開く合言葉があると監督は言います。「言葉は大事」「夢は叶う」「比べるのは昨日の自分」 矢野監督が「言葉は」というと選手が「大事」、「夢は」というと「叶う」、「比べるのは」と いうと「昨日の自分」。毎日毎日、この合言葉を監督と選手が繰り返していると、選手たち は心を開き、前向きに言葉を受け入れ、真摯に自分と向き合うようになるといいます。これ こそが成⻑の第一歩です

次に「超積極的」です。監督は少年野球のコーチをしている時に、初球を見送る子供によ く声をかける言葉がありました。「監督に怒られない野球をやって楽しいか?どんな球打ち たい?」と尋ねます。少年は「ヒット打ちたい」と答えます。監督は「ヒットでええんか?」 というと、少年は「ホームラン打ちたい」と。監督は「そうやろ、それやったら初球から思 いっきり振ってホームラン打ってこよう」とアドバイスします。2 軍監督時代、選手に「27球で試合が終わってもいいから、初球から積極的に打っていこう」と声を掛けました。監督 は「データ的にも初球がヒットになる確率は一番高い。初球から振ろうと思うと打席に立つ 前にあれこれ考え、準備をしてバッターボックスに立つ。何気なく打席に立たない」と言い ます。盗塁についても、「サインが出なくても、積極的に走っていい、むしろ監督がノーサ インで勝てる野球が理想」と言い切ります。2 軍監督時代、初球凡打、盗塁失敗を一切咎め なかった、しかし、チャレンジしなかった選手にはチャレンジの大切さを説きます。その結 果、選手はのびのびと野球ができるようになり、結果として、盗塁日本一記録を更新して優 勝を手にします。監督は言います。「増富さん、盗塁日本一の記録を更新しましたけど、盗 塁失敗も一番多かったんですよ。でも、その失敗数こそ誇りに思っています。なぜかと言う と、失敗数こそがチャレンジの数なんです。選手たちが、それだけ多くチャレンジしたこと。 あの時は盗塁が苦手な選手もチャレンジしていましたし、盗塁しようと思うと、あれこれ準 備し成功するために考えるんです。考えること、準備すること、これこそが、プロとして一 番大事なことだと思うんですよね」

矢野監督とのお付き合いを通して、私自身も社⻑としてやるべきことが芽生えてきまし た。社⻑として社員を今までのイメージで決めつけていないか?社員にチャレンジできる 環境を作っているのか?チャレンジして失敗しても咎めない、チャレンジの重要性を説く。 社員に何をするのか、どんな方法でと、やり方ばかり言っていることを反省し、仕事にどん な心で向き合うのか、心のあり方こそが大事なことだと、改めて一から始めたいと考えてい ます。自分自身もそれなりにやってはいるけど、何となく過ごしている自分がいるような気 がします。「何気なく過ごさない」「もっと全力で楽しんで生きる」。これを今年のテーマに してやっていこうと思います。

2020/03/01