Column / 社長コラム 社長コラム

2017.02.01

USJ

昨年の10月頃、東京で始めたエンターテイメントビジネスの経営不振をどう立て直せば良いかを考えていました。
 経営のヒントになる本を本屋へ探しに行った時、「USJ」「V字回復」「マーケティング」という自分が探し求めていたキーワードが目に飛び込んできました。この本『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』森岡毅著がきっかけとなりUSJの事を深く調べる事になりました。
 USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)は、ゲストの期待と想像をはるかに上回る興奮と感動のライドやショーのアトラクションによって、「ジョーズ」「ジュラシック・パーク」などハリウッド映画の世界を余すところなく体験できるパークとして2001年3月31日にオープンしました。2016年度上期(4月~9月)の入場者が昨年同期比7%増の約700万人となり過去最高を記録しました。東京ディズニーランドとディズニーシーは微減となり明暗が分かれました。このような快進撃の理由はある男がUSJにやって来たことから始まります。USJは初年度の来場客数1,102万人と世界で最も早く1,000万人超えを実現しましたが、不祥事などにより翌年から業績が悪化、翌年02年度には764万人まで激減、04年には事実上の経営破綻に陥りました。米国ユニバーサル社からグレン・ガンベル氏が招聘され社長に就任し、リファイナンス・コスト構造の見直すことにより経営を立て直しました。しかし、来場客数は一向に上向きません。そこで次の一手を打ちます。それが、マーケティングのプロである男・森岡毅氏の招聘でした。
 森岡毅氏の本からマーケティングを勉強して一番強く感じた事は、いかに私がやっているエンターテイメントビジネスが自分本位で、販売する側の視点で商いをしていたかという点でした。店舗があるのは良い場所のはず、このキャラクターはお客さんを呼べるはず、この空間なら喜んで来てくれるはず、このぐらいの値段をもらわないと合わない、などの「販売者視点」を「消費者(お客様)視点」に変えなければなりません。次に感じたのは「どう戦うか」の前に「どこで戦うか」。ターゲット層を明確に見極めなければならないこと、ターゲット層をどこに絞るのか、その層にどんな販売戦略をするかが大事だということです。最後に、どこに問題があるのか。どうすればその問題解決ができるのか。マネジメントの視点やクリエイティブの思考などはとりあえず横に置き、消費者視点でひたすら考え抜き、問題解決案をいくつも用意し、成功確率の高いと思われる案から「トライ&エラー」を繰り返すことが大事だということ。
 マーケティングを勉強する機会を得たことは、きっと私の人生において未来必要なスキルだと考えます。しかし、それ以上に大切な気づきは人生を変えるには「動き出す」ことだと感じました。東京でのエンターテイメントビジネスのつまずきが、私の人生の大きな気づきを与えてくれました。人生を変えるのは簡単です。現状に縛られず、一歩を踏み出せば良い。たったそれだけのことなのに、ほとんどの人は行動を起こせない。古い常識に縛られ、変化することは危険で、現状を維持することが安定につながると信じ込んでいる。そうした人々を目にするたびに、何度も歯がゆい思いをしてきた。古い価値観を捨て、動き出すことの大切さと楽しさを伝えたくて、少しでも多くの方の動き出すきっかけになることを願います。
(参考文献:森岡毅著『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』角川書店,2016)
2017/02/01