田中邦衛

先日、田中邦衛さんが亡くなりました。昭和の名優がまた1人この世を去り、寂しい限りです。1932年11月生まれ・88歳没。一九九五年俳優座養成所入所し、1961年「若大将シリーズ」を皮切りに「網走番外地シリーズ」、1973年俳優座退所後「仁義なき戦いシリーズ」1981年「北の国から」1983年「居酒屋兆治」など数々の映画やテレビドラマに出演し人気を博していました。中でも、映画・「若大将シリーズ」での青大将役、「北の国から」での黒板五郎役を演じ、国民的俳優になりました。1960年代半ばから共演を重ねた高倉健を尊敬していて、1985年の「夜叉」で高倉健に加えて、ビートたけしも共演したことから、高倉健に漫才の稽古をしようと誘われたエピソードがあったようです。その個性的な風貌から、いくつかの漫画のキャラクターのモデルになっています。尾田栄一郎著「ONE PIECE」では、主人公の海賊ルフィを追う海軍本部の海軍大将「黄猿・ボルサリーノ」が、「仁義なき戦い」の田中邦衛をモデルにしています。ブルーリボン賞助演男優賞「逃がれの街」「居酒屋兆治」・日本アカデミー賞最優秀助演男優賞「学校」「子連れ狼・その手の先に」・1999年には紫綬褒章・2006年旭日小綬章と数々の賞も受賞されています。

 

随分昔になりますが「北の国から」の最終回で田中邦衛演じる五郎が2人の子供(純と蛍)に遺言を残します。そのシーンを観て、自分の中にある何かが芽生え、PTA活動を始めるきっかけとなりました。そのセリフは『人として親としてお前たちに伝えるべきことがある。財産や資産は残してやれない。金なんか望むな、幸せだけを見ろ。そして、つつましく生きろ。それが、父さんからお前たちへの遺言だ』。この言葉は私の親としての責任を思い起こさせました。「子供たちがまだ判断力のない、子供の時代に子供たちに伝えるべきことを伝えなければならない」と思いました。それまで、私が思う父親の役割は仕事をして稼ぎ、子供たちの選択肢を広げてあげることだと、それ以外は母親の役目だと思っていました。しかし、五郎の言葉を聞き、父親として、子供たちに沢山の教えるべきこと、伝えるべきことがあるはずなのに話していないことに気づかされました。「礼儀や挨拶の大切さ」「親や祖父母を大事に想う心」「人としての考え方や生き方」など。子供たちのことや地域のことをもっと知りたい、そんな思いでPTA活動を始めました。

 

それから、10年間もPTA活動をすることになりました。このPTA活動を通して感じたことは、親が見ている以上に、子供たちは親のことを汚れのない目で見ているということでした。だからこそ、子供たちに、恥じるような生き方はできない、と当時思いました。PTA活動は「キャンドルサービス」のようなもので、自分の子供ではない子供たちに「愛情」「幸せ」を分けても決して自分の火は小さくなったり、消えたりはしません。それどころか逆に分け与えた周りの火によって自分自身の「愛情」「幸せ」を感じて温かい気持ちになれたように思いました。今思えば、子供たちのために行った、校区の防犯チェック、朝の挨拶運動、運動会でのタバコ注意、など良き思い出です。しかし、地域はいろいろな方々の集合体です。PTA会長としての発信は受け取られ方も多種多様です。挨拶をしない子供たちに大きな声での挨拶を強要したら、知らない人に声をかけられても無視しなさいと親に教えられていたり、運動会で喫煙場所ではない所で吸っている父兄に注意したら、逆に文句を言われて、意地になって注意してしまったりと、良かれと思ってとった行動も後味悪かったりで、会社経営よりも、PTA活動の方がよっぽど難しいと当時は感じました。また、冗談のような話ですが、PTA会長は地域の顔で、良きにつけ悪しきにつけ地域のお母さん方から見られています。ある日の昼食時、時間がなかったので近所の吉野家ヘ行き、急いで食事を済ませると、それを見ていたPTAのお母さんが「会長は毎日吉野家で牛丼食べている。会社が危ないからで、もうすぐ潰れるらしい」と噂されたり、コンビニの本のコーナーでパラパラと雑誌を物色していると「会長がコンビニでエロ本立ち読みしとった」と。コンビニにエロ本無いし、と思いながら、当時噂を弁解したことを覚えています。

 

子供たちのために行ったPTA活動を終えて、6年が経ちました。3人の子供たちも、今年26歳・23歳・18歳と、それぞれ成長し物事の判断がつく年齢になりました。しかし、今はコロナ禍、通常の時とは違います。今この時(特に長男・次男)に伝えるべきことがあるとしたら、これからを生き抜くのに必要なものは、「先見性」「リーダーシップ」だと思います。「先見性」=これからは情報の差が収入の差と成ります。大事なことは生き抜くためにリスクをとる必要があり、そのリスクは情報によってカバーが必要です。そして、最も必要な情報源は時代の先頭を走る人だと思います。「リーダーシップ」=これからの時代に最も必要なことは戦う覚悟を持つこと。そして、イノベーション(革新)、差別化、グローバルが大きく起こり、未来は企業が国を選ぶ時代になるということ。コロナ以降の新たな時代を生き抜いて欲しいと願います。

 

 

2021/06/01