ICHIRO

日米の野球界で活躍したイチローが引退しました。冒頭この言葉しか思い浮かびません。イチロー、多くの夢と感動をありがとう。日米で28年間プレーしたイチローが残した記録は、オリックス9年 1,278安打、メジャー19年3,089安打、合計4367安打(非公式世界一)。オリックス7年連続首位打者、メジャー2回首位打者。2001年メジャー新人王とMVPを同年受賞、打率.350首位打者、242最多安打、56盗塁。2004年メジャー最多安打記録262本。イチローが残した記録は確かに凄い。しかし、記録よりもっと凄いと思うことは、継続する力であり、準備する力。どうやって継続し、そのためにどう準備してきたかが、達人の域だと思います。イチローと誰かの対談で「あくまでも計りは自分の中にあり、それを超えていくことが大事なことで、一気に高めていこうとすると、今の自分とギャップができて続けることができない、地道に進むしかない、自分がやると決めたことを信じてやっていく、でもそれが正解とは限らない、間違ったことを続けてしまっていることもある、でもそうやって遠回りすることでしか、本当の変わるべき自分に出会えない気がしている。自分なりに重ねていったことが結果的に記録となり残る」「自分ができると思ったことは必ずできるとは限らない。だけど自分ができないと思ってしまったら、それは絶対できない」「小さいことを積み重ねることが、とんでもない所へいく、ただ一つの道」との言葉を聞いた事があります。
 

日本で始まったメジャーの開幕戦は、まるでイチローの引退のために用意された舞台のように感じました。試合後、手を振りながらグランドを一周、その後、84分に及ぶ記者会見が始まりました。幾つか印象に残った言葉がありました。記者「後悔はありませんか?」の問いに「後悔などあろうはずがありません」この微塵も後悔のない言葉に心揺さぶられ、「人よりも頑張ったということはとても言えないですけど、自分なりに頑張ってきた」という「自分なり」に超一流の重みを感じました。記者「プロ野球選手になるという夢を叶えて、成功して、今何を得たと思うか?」の問いに「成功すると思うからやってみたい、それができないと思うからやらないという判断基準では後悔を生むだろうなと思います。やりたいならやってみればいい。できると思うから挑戦するのではなくて、やりたいと思えば挑戦すればいい。そのときにどんな結果が出ようとも後悔はないと思うんです。」成功とは単なる結果でしかない、やりたいと思うことを積み上げること、挑み続けることが大事なことだと。記者「我慢したことは?」の問いに「我慢できない人なんですよ。できること、楽なことやりたいことを重ねてる感じ、だから我慢の感覚がない。体を動かしたくてしょうがない、体を動かせないことが我慢。」本来なら辛いトレーニングを楽しくできるようにする天才的な才能があるのでしょうね。記者「最低50歳まで現役と言ってきましたが?」の問いに「有言不実行の男になってしまったわけですけど、でも、その表現をしてこなかったら、ここまでできなかったかなという思いもあります。だから、言葉にすること。難しいかもしれないけど、言葉にして表現することというのは、目標に近づくひとつの方法ではないかなと思っています。」言葉の使い方は大切ですね。記者「奥様への感謝の気持ちは?」の問いに「まあ、とにかく頑張ってくれました。僕はゆっくりする気はないですけど、妻にはゆっくりしてもらいたいと思っています。ホームの試合の時はゲーム前に妻が握ったおにぎりを食べるのですが、その数が通算2,800個くらいだったんですね。3,000個握らせてあげたかった」という言葉に、弓子夫人への深い愛と感謝がにじみ出ていました。記者「貫いたもの、貫けたものは?」の問いに「野球を愛したことだと思います。これは変わることはなかったです。」イチローの美学や哲学に触れることができた、歴史に残る引退会見でした。

 

イチローの記者会見を観て感じたのは、一流は一流言語を話すのだと。人が使う言葉にはそれぞれステージがあり、その人が使う言葉を聞きながら、そのレベルを測っているように思います。記者会見の中でイチローが「僕、おかしな事言ってます?」と連発していたのは、記者とのズレを敏感に感じ取っての事だったのかもしれません。私もこんな経験があります。ある人と数分話しただけで、「この人凄いかも?」とか「この声のトーン、落ち着く」逆に「内容の低さに疲れる」「声のトーンが苦手だったりして、響かない」と感じることも。エネルギー値や波動も有りますが、使う言葉の選択やボキャブラリーの深さによって、その人の歴史や価値観、人格など、その人の歩みが分かったりします。一流の人が使う言葉は、その人が目標に向かって努力する過程での思考や試行錯誤しながら答えを導く視点など、宝石のような経験が散りばめられています。一流言語が勉強できた記者会見でした。イチローは引退して元イチローになってからも、きっとさまざまな形で私に刺激や感動を与えてくれるに違いありません。これからの人生をより一層、楽しみながら挑戦する勇気をイチローからいただきました。「不可能の反対は可能ではなく挑戦だ!」 THANK YOU ICHIRO.

 

 

 

2019/05/01