Column / 社長コラム 社長コラム

2016.11.01

2016 リオ

リオデジャネイロ オリンピックは南アメリカ大陸で初めての開催、さらに、開催地が冬の時期に行われる(平均気温22度の亜熱帯気候)夏季オリンピックとなりました。今回のオリンピックは開催前から競技場の工事の遅れ、水質汚染、治安の悪さなどの理由から開催が危ぶまれていましたが、極め付けはルセフ大統領停職による大統領不在で開幕。開催決定から7年、トップ不在は五輪に暗い影を落とし、南米初の栄誉が「不安材料ばかり世界中に知られてしまう」と残念がる声が聞こえてきました。

試合結果は参加国206、参加人数11,000人以上、28競技306種目で競われ、メダル数はアメリカが金46、銀37、銅38で1位、2位イギリス、3位中国、4位ロシア、5位ドイツ、6位日本は、金12、銀8、銅21、7位フランス、8位韓国、9位イタリアとなりました。残念だったのはロシアが国ぐるみのドーピング発覚により、多数の選手が出場停止となり、大幅にメダル数を減らしたこと。そんな中、10名の難民による難民選手団が結成された特別措置は、オリンピック憲章に謳う精神に則った極めて時宜を得た英断であり、賄賂やドーピング問題に揺れるIOCにとっては「大金星」と言えるでしょう。
今回のオリンピックで私の心を揺らしたのは選手の流す涙でした。卓球・福原愛「私が足ばかり引っ張って…」との泣きながらの発言には、私も一緒に泣きました。レスリング・吉田沙保里「お父さんに叱られる」と金メダルを取れず泣き崩れている姿に、お母さんの一言「最後までちゃんとやりなさい」これまた泣きました。テニス・錦織圭の銅メダル、柔道日本の復活などまだまだ見所はたくさんありました。勝って泣き、負けて泣く。そこには嘘や偽りがない世界。一生懸命にやってきたからこそ見ているだけで感動し涙する。私にとってオリンピックは寝不足との戦いでもありました。

そんな最中、夜中に違うチャンネルで格差社会についての討論会をしていました。いかにして生活保護、母子手当をもらうか、が議論されていました。おかしいと思いませんか。昔は生活保護をもらうことは恥ずかしいことだったはずです。どうやったらもらわずに生活できるのかを考えました。努力した人、努力しない人。一緒なわけがない。格差があって当然。こんなことを言ったらすぐに揚げ足を取る人が一杯いるのでしょうね。「お前は食えるからいいけど、俺たちはどうするんだ」と。自由を要求するなら、それなりに責任や義務が求められます。自分の都合のいいところだけ要求し、そこには責任のかけらもない。こんな社会では、誰も努力しなくなります。問題を解決するには「上へ上がる」しかない。努力するしかない。なぜ、豊かな暮らしをしてやると思わないのでしょう。手を握ってみんなで一等賞でゴールしましょう、はやめましょうよ。そんなことばかり言って、日本はここまできたように思います。過去そうだったように、オリンピックで活躍した選手のように、みんなが正直に、一生懸命活躍できる社会になることを祈ります。

4年後、東京オリンピックが開催されます。世界が日本に注目しています。1964年、アジアで初めて開催された東京オリンピックは、第二次世界大戦での敗戦後、急速な発展を遂げた日本が、再び国際社会に復帰する、シンボル的な意味を持ちました。2020年、アジアを牽引していくリーダーとして、メダルの数もさることながら、開催国として「おもてなし」の姿勢や愛国精神を大事に、誇り高く準備にあたっていただきたいと思います。また、今回残念だった選手たちの活躍を祈ります。感動をありがとうございました。

2016/11/01