Column / 社長コラム 社長コラム

2024.12.01

アジアの時代

 21世紀はアジアの時代と言われていました。最初の20年は中国の大きな変化はありましたが、それ以外のアジアの変化は特に感じませんでした。しかし、この数年ものすごい勢いでアジア諸国が発展しているように思います。例えばインドのGDPは2025年に日本を追い抜き5位、2026年にはドイツを抜いて世界第3位になると予測されています。また、タイ・バンコクでは市内で働くアルバイトの最低賃金が1500円と日本の時給よりも高い水準に制定されたと聞いています。また、30代の外資系のエリート(タイ人)は、年収1千万円を軽く超えると言われています。急激な年収アップのおかげか、1人40000円以上もする高級寿司店が連日満席となっているという話もあります。そしてアジア諸国のめざましい発展の中、インドやタイの経済成長に負けていない国がベトナムだと思います。
 1998年、日本JC(日本青年会議所)の国際交流でベトナムに行きました。私たちのミッションはベトナムにJCを作ることでした。当時は社会主義が色濃く残っていて、ドイモイ政策で少し資本主義経済が芽吹いたように感じた頃でした。ベトナムの商業団体とミーティングをしましたが、当時は自由主義のJC定款が社会主義に引っかかり話が進みませんでしたが、あれから26年が経ち、その間にベトナムにJCが生まれました。政治は社会主義ですが、経済は自由主義へと大きく変化したように思います。
 2019年、ベトナム人の友人がベトナム・ダナンで1室1500万円(ピンクブック・政府補償の優良物件)のマンションを購入しました。ベトナムは建設が始まる段階で手付金を払い、完成までの3年間に分割で1500万円を支払います。友人のマンションは2022年に完成しましたが、その時には価値が1・5倍になり、その後2年で4000万円に値上がりしました。今回、友人は4000万円を売却した資金でダナンに新たなマンションを買おうとしています。なぜダナンなのかというと、ホーチミンやハノイのマンションは既に1億円を超えていると言われているからです。私もダナンは大好きな街なのでマンションが欲しいと思い調査を始めました。
 コロナ禍が明けて、日本で家を買うために来日した友人夫婦と久しぶりに再会しました。出会った頃はベトナムの国内Facebookで日本の化粧品を販売していましたが、この8年間で不動産の大成功したことにより、発展途上の国では情報収集能力と資金があれば大成できると身をもって感じたそうです。
 そんなアジアの大躍進の中、日本は失われた30年と言われ、給料も物価も上昇しない時間を過ごしました。アジアから、そして世界から取り残されている印象があります。では、日本はどうしたら良いのでしようか?そのヒントを掴むためには国内だけではなく、アジアにそして世界に目を向ける必要があると感じています。世界の経済を観察すると、日本の30年先がアメリカで、その20年先がヨーロッパ、日本の30年遅れが中国、韓国で、その20年遅れがタイ、ベトナム、その20年遅れがカンボジア、ミャンマーだとすると、ヨーロッパとミャンマーでは100年以上の開きがあります。まるでタイムスリップのような状況です。全ての産業が当てはまるわけではありませんが、企業の寿命をタイムスリップ軸で考えると、アメリカでビック3と呼ばれた自動車産業は30年後、日本の自動車産業に取って代わられました。もしかしたら次は韓国のヒュンダイや中国の上海汽車、などに取って代わられる日が来るかもしれません。日本の家電産業はまさにそのような状況です。日本で近年活躍している企業『ソフトバンク』『楽天』『セブンイレブン』はアメリカで30年前に一世風靡していた企業を真似しているものが多いように思います。また、その企業の経営者はそろってアメリカのMBAなどで勉強してきた人たちです。アメリカにあるものを日本に持ち込み、日本にあるものをアジアへ持っていく、このタイムスリップ軸に沿ってビジネスすることが成功の鍵ではないかと思う、今日この頃です。私はこのタイムスリップの軸に従い日本にあるものをアジアへ持っていくビジネスができればと思案中です。それが結果として、日本の未来の役に立ち、未来の日本人に貢献できれば幸せなことだと思います。
 さて、2024年も残りわずかとなりました。
本年も一年間、皆様には誠にお世話になりました。
来年もよろしくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください。