Column 社長コラム
自己重要感vol.1
6年間務めた、尼崎青年会議所シニアクラブ会長職を退任しました。就任前に前会長から「会長をやり終えたらステージが2つ上がるよ」と言っていただきましたが、終えた今、思うことは、ステージが2つどころではなく、5つも6つも上がったと実感しています。人のステージとは、考え方、在り方など、心の根幹の部分を指していると思います。
今回のコラムでは、シニアクラブの会長職での経験から私が得た考え方、そして、人が欲するモノについての気づきを振り返ってみます。
2019年2月シニアクラブ会長就任。就任した翌年に早速コロナが到来しました。長引くコロナ禍、シニアクラブの舵取りで多くの苦悩がありましたが、逆にその過程で多くの学びを得ました。シニアクラブの活動は『組織運営(総会、理事会)』『親睦(ゴルフ、旅行)』『家族交流事業(宝塚歌劇、花火クルーズ)』『お祝い(賀の祝い)』『現役会員との交流』などがあります。しかし、コロナ禍は多くのスケジュールをキャンセルしたり、デジタルなどに切り替えて開催することを余儀なくされました。
この困難な場面を最初は「私が何とかしなければならない」と強く考えて行動していましたが、逆に空回りしてしまいました。自分自身の無力さを強く感じます。動けない、集まれない、話せない環境の中、何もできない自分を知り、この状況を打開する方法を毎日考えていました。しかしながら、長引くコロナ禍で考え続けた私は、やや開き直り「なるようにしかならない」と考えるようになりました。心境は「オレがやる」から「なるようになる」、そして「まわりに任せる」へと変化していきます。私が理事メンバーに発する言葉は「任せる」「信じている」「大丈夫」「できるよ」「感謝している」「ありがとう」などの言葉でした。その時、私が知らず知らずにかけていた言葉は自己重要感を感じられる言葉でした。この自己重要感を高める言葉使いは、シニアクラブを動かす大きな原動力になったように思います。
今の時代を生きる人たちが求めているモノ。いや、餓えるほどに渇望しているモノ。それは「自己重要感」ではないでしょうか。人は誰しも認められたいという欲求を持っています。昔、戦争を経験した日本人はとにかく腹いっぱい食べることが最大の欲求でしたが、今の日本は飽食の時代です。1つの欲求が満足すると、人間は次の欲求が出てきます。まずは生存欲求、そして、次が群居衝動欲求(仲間が欲しい)、自己重要感(認められたい)、性欲、好奇心、大きく分けても実に様々な欲求があります。そんな中で現代の日本人が求めている1番の欲求は『自己重要感』である。シニアクラブの会長職を経験して現代日本人の根幹をなす欲求に気づくことができました。