Column / 社長コラム 社長コラム

2016.08.01

あらかじめ

毎年デミックでは10~15名の新卒社員を採用してきました。しかし、今年から新卒採用をやめる決断をしました。やめた理由は、大手企業が採用数を増やした影響で中小企業の新卒採用が厳しくなったこともありますが、それ以上に大きな理由は、一緒に事業をすることになった、東大卒で大学生のカリスマR君(25歳)の「上位1%の優秀な学生は、就職活動はせず自分で起業しますよ。」という一言でした。

デミックは過去12年にわたり企業説明会を開催し、多くの社員が面接やイベントに関わってきました。社長である私も新卒採用の先頭に立ち、3月・4月は毎週のように関西・関東・四国の、どこかの企業説明会場にて社長スピーチをやり、本社での最終社長面接も40名近くおこなってきました。社長である私の一番の大切な仕事が新卒採用だったように思います。これは、ひとえに優秀な新卒社員を採用したかったからです。しかし、牛乳宅配ビジネスの主たる仕事は飛び込み営業ということもあり、多くの新卒社員は未来への夢・希望を思い描くことができずに辞めていきました。社員が辞めるというのは、社長にとってはとても寂しいことです。「社員が未来に向けてやりがいのあるビジネスモデルがやりたい」と切に願うようになりました。それが、最近の私のビジネススタイル「一緒にやって楽しい人とやりがいのある事業を全国に拡げる」の最初の動機だったかもしれません。ビジネススタイルが変わると自ずと、求める人材層も変わり「優秀な新卒」から「事業を任せることのできる社長」へと変化していきました。

今年の初め冒頭のカリスマR君と出会い、「起業を目指す大学生支援サイト」を立ち上げることになりました。起業を目指す大学生たちと話しをしていると、それまでの価値観は一変しました。彼らの価値観や考え方は社会人を10年経験したからといって、そこまで到達できるとは思えない域に達していました。新卒社員を採用し、育てていくことは決して否定しませんが、新たな出会いにより新たな事業が数々立ち上がっていく環境においては新卒育成は効率が悪く手間のかかる作業であることも否めません。そして、社長である私自身も新たな出会いや気づきにより社員の成長スピードを上回るスピードで成長させていただいたように思います。結果、新卒採用をやめ、社長をできる人材を求めるようになっていきました。最近、デミックの新卒社員たちの中から、新規事業への配属が次々と続いています。それなりに困難はあると思いますが、やりがいを持ってやってくれていると自負しています。

あらゆる選択肢の中から成功する確率の最も高いものを選ぶためには「予」を大切にしなければなりません。予感、予想、予測、予防、予期・・・の「予」です。あらかじめ感じ、あらかじめ想像し、あらかじめ学び、あらかじめ測り、あらかじめ覚悟する。常に「あらかじめ」を大切にし、念頭に置いていれば自ずと正しい道をたどることができるように思います。私の経験によると一流は例外なく感じる力を持っています。感じる力とは修正能力のことで、感じるとは少しの変化や移ろいに気づくことです。生きることは変化の連続です。その変化をいかに捉え、対応していくかが紙一重のところで明暗を分ける要因となります。変わりゆく今を生き抜くために必要なものは、良質な人脈、そして、そこから得られる良質な情報こそが重要だと感じます。

2016年8月

2016/08/01