Column 社長コラム
これでいいのだ!
私は毎月初めに神社・仏閣にお参りすることを習慣としています。この習慣は経営の厳しかった頃、藁をもすがる気持ちで神頼みに行ったことが始まりでした。近年は神頼みというより、感謝の気持ちを持って、お礼参りに行くことが多かったのですが、最近は長引くコロナの影響から自分自身や家族・社員・友人の健康や会社の業績など、知らず識らず自分ごとを神頼みしていました。ある日、いつものようにお参りしていると、お父さんに抱っこされた3歳ぐらいの女の子が横に来てつぶやきました。「世界中の人がコロナから救われますように」と。私は頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けました。自分のことばかり祈っていた自分の小ささを恥じ入りました。
その後です、私がコロナにかかったのは…。少し経緯を説明しますと、社員の運転手とお墓参りに行きました。運転手は10日程前から体調が悪く、倦怠感と下痢の症状がありました。「コロナじゃない?大丈夫?」と尋ねると「熱もないので大丈夫です」と。その日はほぼ一日中、運転手が運転する車の助手席で過ごしました。次の日から5日ほど倦怠感と下痢の症状がでましたが、すぐ症状は無くなりました。まさかコロナだとは思いませんでした。お墓参りから2週間ほど経った頃、ある社員が抗体検査をしたいというので、ついでに、私と運転手も検査すると、2人共陽性。こりゃヤバイと、次の日に近所の病院に事情を話してPCR検査を受けました。そこで、運転手陰性、私は陽性でした。それからが大変でした。濃厚接触者と認められPCR検査を受けられるのは前日と前々日の2日間に会った人だけ(社員3人・家族の家内と娘の5人)とのことでした。それ以外はPCR検査を受けられないので、この2週間に会った方々に事情説明し抗体検査を受けてもらい、全員陰性でした。濃厚接触者五人は病院でのPCR検査を受けた結果、家内、娘は陰性、社員1人陽性でした。社員は高熱でずっと寝込んで、本当にかわいそうでした。ただもっと辛かったのが、娘が濃厚接触者ということで学校へ行けない状況になり、辛い思いをさせてしまったことです。
その後2週間の自宅療養はすごく時間があり、癒されるようなYouTubeをたくさん観ました。その中に、私を救ってくれたYouTubeがあったので紹介します。それは赤塚不二夫さんの葬儀の時にタモリさんが述べた、お別れの言葉でした。『赤塚先生は本当に優しい方です。シャイな方です。あなたはすべての人を快く受け入れました。そのために騙されたことも数々あります。金銭的にも大きな打撃を受けたことがあります。しかし、あなたから後悔の言葉や、相手を恨む言葉を聞いたことがありません。あなたは私の父のようであり、兄のようであり、そして時折見せる、あの底抜けに無邪気な笑顔は、はるか年下の弟のようでもありました。あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は、重苦しい意味の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を絶ちはなたれて、その時、その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは、見事にひとことで言い表しています。すなわち「これでいいのだ」と』。
コロナ禍、順風満帆の人はあまりいないかもしれません。会社の業績や行動の制限からくるストレスなど、苦しんでいる人がいっぱいいるように思います。このYouTubeを観て、私が救われた点は、コロナ感染拡大を人のせいにして非難したり、コロナウイルスを憎んでみたり、行政のルールのせいにしたり、何かのせいにしてしまいがちですが、全てを受け入れようと決めたことです。誰かのせいや、何かのせいにしても、何の解決にもならないし、明るい未来はやってこないように思います。自分がこの苦難を「これでいいのだ」と受け入れ、明るい気持ちで前に向かっていけば必ず幸せになれるような気がします。自宅療養の間、有り余る時間があり、もう一つ気づきがありました。それは、「頑張らない時間」の大切さです。以前は、仕事とプライベートの境目がありませんでした。「仕事が遊び、人生の全てを賭けてやる遊びが仕事」こんな風に生きていました。そもそも遊びだと思って仕事をしているので、朝から晩まで仕事していても全く疲れることはありませんでした。しかし、たっぷり睡眠をとると頭が回るようになり、それまで、ずっと考え続けていたことが整理整頓できました。「頑張らない時間」はとても大切です。頑張りすぎている人はゆっくり休むことをお勧めします。
2021/10/01