Column 社長コラム
ツキを呼ぶ魔法の言葉・2
先々月のコラムで「ツキを呼ぶ魔法の言葉・1」をお届けしました。
そのコラムにコロナが終わろうとしている今、5度目の経営危機に陥っているかもしれないと書きました。
過去の経験から、経営危機はほぼ「慢心」「過信」「自信過剰」の言葉通り、自らの中から発生することが多かったように思います。今回の経営危機に拍車をかけたのがコロナ禍の影響です。コロナ禍になってからの3年間を経営分析してみると、「動けない」「話せない」ことでコミュニケーションが不足し連帯感の喪失、行き違いや思い違いによってさまざまな問題に拍車がかかったと思います。現状の全ての問題をすぐに解決し、経営改善をするのは容易ではないと感じています。その理由は「やるべきことは沢山ある、しかし、店舗の誰とやるのかを決められない」「判断力はある、ただ判断する情報がない」このような状況の上に、ガソリン代、光熱費をはじめとする経費の高騰、メーカーの値上げなど、色々な問題を複合的に改善しないと良くならないからです。
もう一度、魔法の言葉を唱えながら経営改善(改革)を決意しました。ピンチが起これば「ありがとう」、良いことが起これば「感謝します」、常日頃から「ツイてる、ツイてる」と口ずさみながら改革に挑みました。改革の第一歩はお客様には心苦しいですが、値上げをさせていただくことから始めました。本当に申し訳なく思いますが、それをしないと改革の前に会社が終わってしまうからです。その上で店舗の現状を知ることから始めようと、長い間行けてなかった店舗への訪問をすることにしました。久しぶりに訪問した店舗は良いのか悪いのかわかりませんが、全く何も変わっておらず、昔のままでした。変わったのは老朽化した店舗建物と当時からの勤務してくれている配達スタッフが10歳以上も年をとっていたこと、さらに時代の潮流に伴う宅配牛乳のニーズの変化などから店舗のお客様件数が減っていたことでした。事務員と面談、店舗社員と面談、全ての配達スタッフと面談し、面談終了後みんなで懇親会を開催しました。スタッフと話して一番大きく胸に湧き上がった感情は、他の事業に力を割き10年以上も店舗を放ったらかしにしている間、ずっと配達をしてデミックを守ってくれていたスタッフへの感謝の気持ちでした。本当に「有り難い」の一言に尽きます。そして、一見、店舗もスタッフも変わっていないように見えたのですが、リーダー不在で放っておくと、そこで働くスタッフの都合よく仕事が変わっていることが面談を進めるにつれてわかってきました。これは、放ったらかしにしていた私の罪です。
デミックが大きく飛躍したのは、私が40歳から50歳の10年間でした。毎年、新卒を15人受け入れ、右も左も分からない社員と前年、前々年入社の成績優秀社員を育成者に育てて学生時代のクラブ活動のような営業組織で、毎年1店舗ずつ営業拡大していきました。たった200件で始めた牛乳屋は40,000件の顧客を持つまでに成長し、心の根底に「オレはできる」「オレはすごい」という勘違いがありました。これこそが「慢心」「過信」「自信過剰」という心の緩みでした。動く、動く、動く、誰よりも動く、誰よりも働く。正確な情報を得て即断即決。「いいチームを作る」をテーマに動きまくる。全国の店舗を回り問題がたくさん見えてきました。いつも「ありがとう」と口ずさみながらスタッフと面談を繰り返しています。文字通り「難が有る」時に「有り難う」不幸は重なるものです。でも、「ありがとう」ということで、その不幸の連鎖が断ち切られ、逆に幸運を呼び込むことができます。動き回ると、多くの社員を巻き込むことになります。多くの社員を引っ張り回すと、互いに同じ方向を見ることができるようになり、同じ想いを共有できることになります。何よりも店舗への訪問が楽しくなり、アイデアが湯水の如く湧き上がり、時間を共有する仲間と喋りまくります。変わりたくないスタッフが、こちらの本気に触れると、変わり始めます。本気を受け入れ始めます。動き回りどんどん改革していくと「一人でもやってやる」という自信が芽生えます。
かつて坂本龍一は「すごい根拠のない自信家でね、なんでもできると思ってたんですけどね。自信があるといつかそこ(目指す目標)にいけるんですよ」という言葉を残しました。『自信とは才能』私も60を過ぎ、まだこのような言葉に心動かされます。それも才能なのかもしれません。神様がこの時期に店舗を回るように仕向けてくれたのだと思います。「仕事は現場から」この言葉が心に染み入ります。たとえ小さなことに対しても「ツイてる、ツイてる」を口癖にすると、必ずツキはやってくるように感じます。なぜなら言葉は心を変え、習慣を変え、ツキを引き寄せるからです。
2023/07/01