Column 社長コラム
ネクストミーツ/地球を終わらせない
私の友人が会長を務めるネクストミーツという企業を紹介させていただきます。企業理念は「地球を終わらせない」、このメッセージ性の強い企業理念を全面に押し出しているので、一見、環境団体のように思われがちですが、利益より使命を優先して仕事をしているのがこの企業の特徴です。以前のコラムで、2022年は「終わりの始まりの年」で、終わるものと始まるもののクロスする年だと書いたことがありますが、ネクストミーツは動物性食料から植物性食料へ変化していく中で輝きだした代表的な企業です。
ネクストミーツ白井会長に、この会社の存在意義を聞いてみました。『地球環境のための食事、地球環境のためのビジネス「サスティナビリティファースト」を大事にしていて、いわゆる利益追求、利益ファーストではなくて、まず地球環境のことを考えて、その上で物事を遂行していくことを一番大事にしています。あと、地球環境に配慮した新しい食材を普通に食卓に置いてもらうそのための「行動」これを「NEXTスタンダード」と言い、ライフスタイルの方向を変えるために必要なことを「NEXTカルチャー」と言い、新たに文化を創っていきたいと考えています。地球の気候変動問題が非常に深刻な状況なのに、まだまだ楽観視している人が多いと思います。また、私たちの子供たちが大人になるにつれて現実を知ると地球環境の未来にすごく絶望してしまうようにも思います。そういう世の中であってはならないと思い、私たちが今すぐ何かをやるべきだとずっと思っていました。それで行き着いたのが代替肉でした。畜産の中でも特に工場式の大量生産の畜産がありますが、それをまずは置き換えていくことが、我々の初動となり、大きな原動力でした。世の中はどんどん、そういう方向に我々がやらなくても向かっていくと思うのですが、我々のようにメッセンジャーとして先頭を走るプレーヤーが必要だと思い、「地球を終わらせない」というメッセージを全面に掲げて食品メーカーをやっていく決意をしました。そして、スピードを上げてここまでやってきました。マーケット自体はこういったSDGsであったり、サステナビリティという文脈で新しい文化を取り入れて、新しい食材を取り入れる必要があると思いますが、まだまだ変化が遅いという印象をもっています。その理由は「地球を終わらせない」という思いを受け入れてくれる方がまだまだ少ないからだと思います。だからこそ、我々が頑張るしかないのですが、徐々にサスティナブルな方向へ変わってもらえるように努力します。』
また、やりがいはと尋ねると『まずこの仕事をやっている最大の喜びは、自分自身も子供を持つ親の立場から、子供たちのため、そして子供たちが生きる未来のために、私達は何かをしなければと、ずっと考えていました。今やっているネクストミーツの仕事は、代替肉を製造して販売する、そして、何よりもお客様に受け入れてもらうことが、未来につながっている自負があります。それだけでも仕事をしている喜びが大きいです。お金だったり権力だったり名誉だったり、そういったものよりも何より嬉しいと感じています。』
白井会長の話を聞き、企業の使命はいろいろあると思いますが、「利益と御返しのバランス」がすごく大事だと思いました。また、人生の素晴らしいテーマを学べたように思いました。いまだ試練が続く世界情勢にもかかわらず、支持を伸ばし、成長を維持しているネクストミーツの企業姿勢には、悠久の時を経ても決して色褪せない、普遍の哲学が貫かれているように思います。1年先の利益ではなく、100年先に生きる人々のことを大切にする思いが感じられます。それは現代社会が失いかけ、今、見直され始めている価値があるような気がします。
白井会長は2020年の始まりの頃まで、中国・深センにて年に100回ものビジネスツアーを行う会社を経営していました。それが、コロナになりビジネスツアーができなくなりました。それをきっかけに代替え肉事業に全てをシフトすることになりました。最初はその決断に「大丈夫なのかな?」と心配していましたが、2021年末頃にはネクストミーツがメディアにて大きく取り上げられ、米国ナスダックにてSPAC上場を果たし、時価総額が480億円もの値段がつきました。ご自身もこの現実に困惑されていましたが、人生は何が起こるかわかりませんね。人は白井会長のことを運がいいと言うかもしれません。しかし、代替え肉事業をコツコツとやってきたこと、未来の子供達のために地球環境のことを真剣に考えてきたこと、コロナを機に全てをこの事業に賭けたこと、これらが相まって大きな波がきました。私の人生のルールに「運はプロセスによるところが大きい」という言葉がありますが、その言葉を思い起こしました。今後も変わらぬ白井ちゃんでいてくださいね。
2022/07/01