Column / 社長コラム 社長コラム

2025.03.01

人を活かす

 「モノを作る前にまず人をつくる」これは松下電器(現Panasonic)の創業者・松下幸之助氏の言葉です。松下電器は何を作るところかと尋ねられたら、松下電器は人をつくるところです。合わせて電気器具も作っております、と答えるように常日頃から幸之助に言われていました。幸之助曰く「事業は人にあり、つまり人がまず養成されなければ、人として成長しない人をもってして、事業は成功しないと。したがって電気器具そのものを作る事は誠に極めて重大な使命でございますが、それをなすには、それに先んじて、人を養成するということでなくてはならない」。経営者となり、30年以上が過ぎ、今更と思われるかもしれませんが、弊社が抱える今現在一番の経営課題は「リーダーの育成」だと考えています。
 2022年、寿司屋、割烹、ラーメン、カレー、パン屋、ケーキ屋、買取専門店など多くの事業をスタートさせましたが、寿司屋を除いて苦戦が続きました。そして、寿司屋自体も、料理長が変わってからの黒字化となりました。私の見解ですが、飲食店は料理長や店長の料理の腕もさることながら、人となりが大事であると考えます。
それ程、飲食経営の現場において、人となりの影響が顕著に表れます。この人に任せているとなぜかうまくいく。この人の周りはいつも人間関係がギクシャクする。といった経営状況の善し悪しはその店のリーダーによるところが大きいというのが結論となります。
 一見、企業経営には色々な課題があります。「仕入れ・製造」そして「販売」や「人事」さらには「広報」等など。これらに地域ごとの特質や日本の社会的な問題などが含まれる場合もあり非常に複雑です。しかし、突き詰めていくと、どの課題も結局は人の問題に辿り着きます。経営といい、商売といい、その内容、その在り方を左右するものは、人であると確信しています。この世の中の全ての事象に「人」が関わっており、「人」無くして考えられません。どのような問題であろうと、人との関わりがあるからこそ問題になりえるのです。これは事業、経営、商売も然り、当たり前のことなのです。だからこそ、我々は常に「人」の本質を研究していく必要があります。「人」の本質を見極め、事業の各面に活かしていく未来に、真に望ましい経営の在り方が生まれてくるのではないかと思います。今日のような厳しい経営環境においては、特に「人を活かす」ことが優先事項であるように思います。
 私が起業してから社内での役割は、今日までずっと、全てを考え、全てを自分で決めて、全てを指示する。「エースで4番」です。これではいけないと思いながらも、ずっと変えられずにいました。では、私はどのような役割に変われば良いのか?理想は「補欠でキャプテン」であると考えています。振り返ると、私は昔から人を育てるのが苦手でした。いつも我慢できずに「あーしろ、こーしろ」と指示を出してしまいます。しかし、これからは私自身が最も苦手な分野である、社員が自分達で「考える、動く」まで待つ。そして「信じて励ます」こういったことを重視しながら徐々に「補欠でキャプテン」に変わっていこうと思います。