Column / 社長コラム 社長コラム

2021.01.01

半沢直樹②

2020年はコロナ感染症の影響で人々のライフスタイルを大きく変える1年となりました。2020日経トレンディのヒット商品を見ると、コロナで制限された生活を豊かにするヒット商品がいくつも登場しました。上位商品は1.鬼滅の刃 2.マスク消費 3.どうぶつの森 4.Zoom 5.檸檬堂など。上位にランクインしている商品は、ほぼコロナによる生活の変化がヒットの要因になっています。私もコロナにより、コロナ以前と大きく習慣が変わりました。1番の変化はテレビ、パソコン、携帯電話の使用が以前より格段に増えました。仕事は朝から一日中、パソコンとテレビをつなぎZoomでミーティング。過去は本からの情報収集が多かったのですが、今はiPadやiPhoneでYouTubeを観て情報収集することが多くなりました。また、ステイホーム(私の場合はステイ社長室ですが)により、テレビドラマやNetflixから韓流ドラマ、ハリウッド映画などを観る機会も増えました。私自身の2020ナンバーワンヒットはテレビドラマ「半沢直樹」でした。

ドラマ「半沢直樹」は、TBSテレビのドル箱枠「日曜劇場」から生まれた数あるヒット作の中でも、突出したコンテンツです。2013年放送の前作は、最終回40%越えの視聴率を叩き出し、社会現象にまで発展しました。平成歴代1位のドラマとも称されています。前作に引き続き大ヒットとなり、世帯平均視聴率は全話を通して22%を上回り、最終回で32.7%を記録しました。2013度版の最終回の42.2%を超えることはできませんでしたが、平成以降のドラマで30%を超えるのは、2013年度版以来の快挙となりました。ドラマの舞台は大手銀行。巨大な組織の中、登場人物のぶつかり合い、言い換えれば人間が”生きている様”や”生きている力”を描いているドラマです。多少大げさに感じるぶつかり合いも、このドラマの魅力だと思います。主人公・半沢直樹という男は味方にしたらこんなに心強い男はいないと思います。また、頭でっかちな理論だけじゃなくて、ちゃんと足も使って行動するところもよいですし、正論だけでなく、時にはギリギリアウトな線にも行きつつ、ダメだったらきちんと責任を取る、そんなところが半沢の気持ちよさだと思います。また、不屈の闘争心で悪役ライバルをやっつけていく爽快感がたまりません。絶対やりぬく男、絶対負けない男、それが半沢直樹です。

昨年はコロナの影響で、仕事を始めとする多くの場面でやらない決断、動かない決断を数多くすることになり、閉塞感漂う1年となりました。しかし、私はコロナの影響をあまり受けることなく、コロナによって変わるべき点、変わってはならない点を判断した上で、コロナ後を見据えて行動することができたように思います。それは、1995年に起こった阪神淡路大震災の経験によるところが大きかったように思います。大震災は、お客さんの家を揺らし、崩し、私の仕事の全てを奪いました。どれぐらいの間仕事ができないのか、どれぐらいのお客さんが戻って来ていただけるのかなど、先のことを考えると、真っ暗になり、途方にくれたことを鮮明に覚えています。大震災から約1週間、救援物資の配達以来の仕事がきました。その数、40000個/毎日、それまでの配達客数が3000軒でした。途方に暮れていた私の心を奮い立たせました。10倍以上の配達量ということは、単純に計算しても配達車両も10倍、配達員も10倍必要です。自宅待機の社員に連絡したり、知人に配達依頼の連絡したり、車両調達に走り回ったり、大忙しとなりました。救援物資の配達先は、自宅が全壊して住むことのできない方々が避難している小学校の体育館、地域の公民館などが主な配達先でした。急遽揃えた車両、急遽集めた配達員の配達作業はアクシデントの連続でした。車両が故障したり、急遽配達員が仕事に来なかったりと。中でも一番きつかったのは避難場所での心の荒んだ被災者との争いでした。3000人が避難している小学校に着くと、3000個の牛乳を事務所まで持って行くまでに奪い合いになり、いつも揉めていた記憶があります。わずか2ヶ月の救援物資の配達でしたが、大きな利益をもたらしました。その利益を元に比較的に震災被害の少なかった神戸市北区で営業を再開しました。そこでも、店舗に住み込みながら陣頭指揮をとり、営業人員の大量雇用に奔走し、新規客の配達員を雇用し、救援物資の利益の全てを注ぎ込み、お客さんの獲得に全てをかけました。おかげで、その年の暮れには、元どおりの3000軒のお客さんができ上がりました。

阪神淡路大震災は私に「絶対に負けない心」を授けていただきました。苦しいことがあると、いつも「あの時やりきったじゃないか」「あの時諦めなかったじゃないか」と、あの時を思い出します。誰もよくやったと言ってくれなくても、やりきった自分を自分が信じられるようになるんです。誰も褒めてくれなくても、自分で自分のことを誇れるようになるんです。震災の経験は私の人生の宝物となり人生の格言ができました。「幸せは不幸せのふりしてやってくる」半沢直樹はあの時のことを思い出させる熱量あるテレビドラマでした。まだまだ、コロナ感染症の余波は続きますが、みなさん頑張りましょうね。

2021/01/01