Column 社長コラム
安倍晋三
『まだ夢を見ているようです。主人のおかげでいろいろなことを経験できた。すごく感謝しています。いつも私のことを守ってくれました。主人も政治家としてやり残したことはたくさんあったと思うが、本人なりの春夏秋冬を過ごして、最後の冬を迎えた。種をいっぱい撒いているので、それが芽吹くことでしょう。』安部元総理の葬儀にて昭恵さんが読んだ弔辞の一文です。残念でなりません。有難うございました。ご冥福をお祈りいたします。
最近のメディア報道では犯人と特定宗教団体の関係や政治家との関係、いかにその宗教団体が悪いか、などの報道が多く見受けられます。違和感のある報道に「そんなのどうだっていい」と感じているのは私だけでしょうか。
今回の事件は、日本の国のために命がけで働いてくれた安倍晋三を卑怯なやり方で殺した。日本にとってかけがえのない人を失った。そんな事件だと思います。
増上寺に献花に来た中学3年生の言葉「日本の政治に大変尽力された、少しでも近くに行き感謝の気持ちを示したい」が国民の気持ちを表しているように献花台には花を手向ける老若男女が後を絶たちません。一方で安倍さんへの罵倒をやめない勢力が日本を危うくすることを「国民が自覚する時」が来ています。前人未到の国選6連勝。政権を降りる時の”評価する71%”。若者から「安倍さーん」と慕われ、日本国民、そして、世界に愛されていた安倍さん。日本沈没をどうか黄泉の国から防いでください。
安倍元総理を調べているときYouTubeで思わず見入ったスピーチを掲載します。テーマ「大切なことは失敗から立ち上がること」(2022年3月28日近畿大学卒業式にて)
『第一次安倍政権は1年で幕を閉じた。経験不足、選挙での大敗、政権は行き詰まり、持病が悪化、辞任を余儀なくされました。政権を投げ出し日本中から厳しく批判されました。私の責任です。私の政治家としての誇りや自信は砕け散った。安倍晋三は終わった。みんなそう思ったはずです。~略~自民党総裁選挙に勝利し、総裁に復帰しました。なぜ不可能と言われた総理への再登板が可能となったか。それは決して私が特別優れた人間だったからではありません。残念ながら、特別強かったからでもありません。ただ一点、決して諦めなかったからであります。~略~諦めないことが大事です。そして、できるという自信がとても大切だと思います。第一次政権は短すぎると批判されました。でも第二次政権以降、長く続いて憲政史上最長になりました。先も行ったように私が特別優れていたわけではありません。私よりも優れた仲間がたくさんいたからであります。そういう仲間たちと一緒にチームとして同じ方向を向かって進むことができたからなのです。そして、その仲間の多くは第一次安倍政権で同じように失敗と挫折をし、悔しい思いをし、唇を噛んだことが生かされたのだと思います。皆さんも、長い人生失敗はつきものです。人によっては何回も何回も何回も失敗するかもしれません。でも大切なことは、そこから立ち上がることです。そして、失敗から学べればもっと素晴らしいと思います。』
安倍元総理の功績は、内政おいて「経済政策」「安全保障」「憲法改正」の3つ。また、内政以上に素晴らしかったのは外交です。多くの国々の首脳と直接会い信頼を築きながらも、守るべき一線は譲らず、日本のプレゼンスを飛躍的に高めました。今回の事件で多くの国々の方からの安倍元総理に対する弔意はそれを裏付けており、日本人として誇らしい気持ちになりました。戦後の日本が生んだ最も優れた政治家だと思います。「命を狙われて初めて政治家と言える、それが政治をやっている証」という言葉の通り、素晴らしい政治家は常に命がけだといえます。主義主張の違いは当然だと思いますが、それを前提に民主主義があるのだと思います。
しかし、今回の犯人の供述内容は、どうも政治信条とは関係のない逆恨のようなものでした。「全然政治と関係ない、なんやねん、これ」「安部元総理は、命をかけて政治をやってくれていた。それなのに最後は政治と関係のない死は無念だと思うし、納得できない」私の率直な意見です。
世界は今、大きな変革の下、歩むべき王道を迷い、見失い、進むべき羅針盤を必要としています。今この時に安部元総理を失ってしまったことは日本という国家にとって痛恨の極みです。安部元総理のまかれた種を芽吹かせるのが、残された我々の責務ではないでしょうか。
2022/09/01