Column 社長コラム
SUITS スーツ
最近、アメリカのUSAネットワークで2011年から放送されていたテレビドラマ「スーツ」にはまっています。アメリカのテレビドラマのクオリティがこの10年ぐらいで格段に良くなったと言われています。地上波を凌ぐ勢いで、ケーブル局が質の高いオリジナルドラマを作り、最近ではインターネット配信ドラマも映画並みのクオリティを誇っているようです。その中でもこのドラマはピカイチだと思います。仕事の休憩中や車での移動中にDVD約20本を一気に観てしまいました。素晴らしい脚本(ストーリー)とリズミカルに交わされる台詞(セリフ)のテンポの良さに一瞬たりとも目を離せない。なぜこんなに愉快に言葉のキャッチボールができるのだろう、ともう夢中。テーマは「成功と競争」。超エリート集団のクリエイティブで奥深い仕事とその対価の莫大さが面白さを倍増させます。
主人公・ハーヴィは大手法律事務所ピアソン・ハードマンで働く凄腕弁護士。難しい訴訟を解決に導くクローザーとして一目置かれる存在だが、部下を持ちたがらない一匹狼。そんな彼を見かねて所長のジェシカは、昇進と引き換えに部下のアソシエイトを雇うことを命じ、ハーヴィは仕方なく面接を始める。もう一人の主人公・マイクは祖母の入院費を稼ぐため、マリファナの運び屋まがいの仕事を引き受けていたが、それが警察の罠だと見抜き、偶然面接会場へ逃げ込む。そこでハーヴィは、マイクが天才的な頭脳を持っていることをすぐに見抜き、採用を決める。しかし、ピアソン・ハードマンは、ハーバード大学のロースクール出身者しか雇わない事務所。ハーヴィはマイクの経歴を詐称することを提案し、2人は秘密を共有する運命共同体となり、数々の訴訟に挑んでいきます。
このドラマを観るとアメリカ社会の日本社会との違いを感じることができます。一番大きく違うと感じたのは、地位や長幼の差に関わりなく意見を戦わせ、正しい見方なら躊躇なく採用する実力主義。そして、言葉。英語は日本語と違い曖昧さがないので勝つか負けるか、白か黒かなどはっきりします。エリート社会ではそれがより一層色濃く反映していました。はっきり勝敗を決める価値観から訴訟が多くなるのだと。だからこそユーモアの文化が発達したのではないのでしょうか。私が最も共感できたのは、ハーヴィの人間性についてのジェシカが弁護するシーンでした。「思いやりのないふりをしているけど、実は違う。あなたは職場の同僚や上司をいつも気遣っている。クライアントのことも一人一人大切にしている。あなたはそれを知られたくない。どうしてなの?答えられない。恥ずかしい。怖い。どうしてそこまで拒むの?思いやることは何が悪い?」「思いやりのある人は『弱い』。」「人に甘いといいようにあしらわれる。あの日のあなたは強かった。ただ勝てばいいのではなく、正々堂々と勝つことが大事だと信じていた。今でもそう!いいようにあしらわれたことは一度もない。」「弱い」のセリフはジェシカとハーヴィが二人同時に発するのですが、今更ながら、思いやりがあるだけではダメ、やさしいだけでもダメ、強さや正しさを合わせ持たなければ何の価値もないと実感しました。