Column 社長コラム
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2015.09.01
ダライラマ – 2
ダライ・ラマ14世(80)はチベット仏教の最高指導者であり、1959年から50年以上も亡命生活を続けています。ノーベル平和賞を受賞して、世界中から注目を集めるリーダーの一人です。世界に散らばるチベット系の人々の中心に「観音菩薩の生まれ変わり」と信仰される一方で、中国政府からは「分離主義をあおる悪魔」と非難されています。以前にもダライ・ラマについてコラムを書いたように思いますが、偶然見かけたダライ・ラマの言葉に心が満たされ、温かい気持ちになりました。よかったらどうぞ。
1、大きな愛や仕事を手に入れるには、大きなリスクがつきものである
リスクは人生における全ての大きな機会に関与しているものだということを心に留めておいてください
2、望むものが得られないことは、時に素晴らしい幸運を引き寄せてくれる
あなたの希望通りにならない時もあるでしょう。でもそれは宇宙からの贈り物だと思って受け止めてください。あなたの望まないことが、時には幸運を引き寄せてくれるきっかけになるものです。
3、ルールを破るために、ルールを学べ
ルールは破られるものです。だからどう適切に壊すべきかを知るためにも、ルールを学ぶ必要があるのです。それが処罰を避ける手段でもあります。もし、既存のルールがいつまでも疑問視されなければ、我々の文明は停滞したままかもしれません。
4、変化を受け入れても、大切な価値観は失わないこと
この世界は常に変化しています。変化を受け入れ、輝かしい未来を手にしましょう。ただし、自分の価値観は失わずにいることが大切です。
5、あなたの知識を分け与えよう、それが不死への道である
あなたが生涯で得た知識を周囲の人に分け与えましょう。それこそが、不死を達成するための方法です。さらに重要なのは、あなたの失敗を共有することです。他の人が同じ過ちを繰り返さないために。
6、私たちが住んでいる場所、地球に優しくしましょう
地球は私たちが住んでいて、これからも住み続けていく場所であるのは明らかな事実です。地球を傷つけることは、自分自身と子どもや愛する人の未来を傷つけていることになるのです。
ダライ・ラマの言葉は人生を幸せに生きるルールのようなものだと感じました。私たちの運命は今の習慣(ルール)で作られているということ。言い換えると、今の習慣(ルール)を見つめると未来がみえるということ。「いつか、習慣を変えようと思っている。きっと誰かがきっかけを与えてくれるだろう…。」「いつか」はいつまでもこない。自らの運命をつくっていくには、今決めて、変わるしかない。まずは小さい習慣から少しの間だけでも始めてみてはどうでしょうか。 -
2015.08.01
SUITS スーツ
最近、アメリカのUSAネットワークで2011年から放送されていたテレビドラマ「スーツ」にはまっています。アメリカのテレビドラマのクオリティがこの10年ぐらいで格段に良くなったと言われています。地上波を凌ぐ勢いで、ケーブル局が質の高いオリジナルドラマを作り、最近ではインターネット配信ドラマも映画並みのクオリティを誇っているようです。その中でもこのドラマはピカイチだと思います。仕事の休憩中や車での移動中にDVD約20本を一気に観てしまいました。素晴らしい脚本(ストーリー)とリズミカルに交わされる台詞(セリフ)のテンポの良さに一瞬たりとも目を離せない。なぜこんなに愉快に言葉のキャッチボールができるのだろう、ともう夢中。テーマは「成功と競争」。超エリート集団のクリエイティブで奥深い仕事とその対価の莫大さが面白さを倍増させます。
主人公・ハーヴィは大手法律事務所ピアソン・ハードマンで働く凄腕弁護士。難しい訴訟を解決に導くクローザーとして一目置かれる存在だが、部下を持ちたがらない一匹狼。そんな彼を見かねて所長のジェシカは、昇進と引き換えに部下のアソシエイトを雇うことを命じ、ハーヴィは仕方なく面接を始める。もう一人の主人公・マイクは祖母の入院費を稼ぐため、マリファナの運び屋まがいの仕事を引き受けていたが、それが警察の罠だと見抜き、偶然面接会場へ逃げ込む。そこでハーヴィは、マイクが天才的な頭脳を持っていることをすぐに見抜き、採用を決める。しかし、ピアソン・ハードマンは、ハーバード大学のロースクール出身者しか雇わない事務所。ハーヴィはマイクの経歴を詐称することを提案し、2人は秘密を共有する運命共同体となり、数々の訴訟に挑んでいきます。
このドラマを観るとアメリカ社会の日本社会との違いを感じることができます。一番大きく違うと感じたのは、地位や長幼の差に関わりなく意見を戦わせ、正しい見方なら躊躇なく採用する実力主義。そして、言葉。英語は日本語と違い曖昧さがないので勝つか負けるか、白か黒かなどはっきりします。エリート社会ではそれがより一層色濃く反映していました。はっきり勝敗を決める価値観から訴訟が多くなるのだと。だからこそユーモアの文化が発達したのではないのでしょうか。私が最も共感できたのは、ハーヴィの人間性についてのジェシカが弁護するシーンでした。「思いやりのないふりをしているけど、実は違う。あなたは職場の同僚や上司をいつも気遣っている。クライアントのことも一人一人大切にしている。あなたはそれを知られたくない。どうしてなの?答えられない。恥ずかしい。怖い。どうしてそこまで拒むの?思いやることは何が悪い?」「思いやりのある人は『弱い』。」「人に甘いといいようにあしらわれる。あの日のあなたは強かった。ただ勝てばいいのではなく、正々堂々と勝つことが大事だと信じていた。今でもそう!いいようにあしらわれたことは一度もない。」「弱い」のセリフはジェシカとハーヴィが二人同時に発するのですが、今更ながら、思いやりがあるだけではダメ、やさしいだけでもダメ、強さや正しさを合わせ持たなければ何の価値もないと実感しました。 -
2015.07.01
先人に学ぶ知恵
先日、所属するロータリークラブで良い話を聞くことができたので、ご紹介させていただきます。
戦国時代の3武将の性格を表すお馴染みの歌があります。「鳴かぬなら 殺してしまえ ほととぎす」は織田信長。「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ほととぎす」は豊臣秀吉。「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ほととぎす」は徳川家康。では、「鳴かぬなら それもまたよし ほととぎす」と詠んだのは誰でしょうか。経営の神様と名高い松下幸之助です。幸之助さんは「自分は信長、秀吉、家康より偉い」と側近社員に言っていたと伝わっています。「信長、秀吉、家康では誰が一番偉いと思う。信長は偉いな、うつけと言われながらも今川義元を桶狭間で破った軍略の天才、常識にとらわれない発想の持ち主や。けど、秀吉はもっと偉い、信長の悪かったところを学んで、周りへの気遣いを忘れない”人たらし”で、百姓から天下人へと登りつめた。だから、信長より秀吉が偉い。けどな、家康はもっと偉い。自分の代だけで栄華が終わった秀吉の良いところ、悪いところを学んで、江戸幕府が未来永劫まで続く仕組みを考えた。だから江戸幕府は260年も続いた。だから秀吉より家康の方が偉い。けどな、信長よりも、秀吉よりも、家康よりも実は僕の方が偉いんやで。だって、僕はな、信長と秀吉と家康の良いところを勉強して経営に活かしてるからな。」さすがに経営の神様の自慢話は含蓄があります。しかし、まだ続きがあります。「けどな、君の方がもっと偉くなれるんや。信長と秀吉と家康と僕の『良いところ』も『悪いところ』も利用するだけ利用できるんやから。そうすれば、ゼロから始める人よりも、早く先人を乗り越えられるやろ。」偉くなるために先人の知恵を利用しろと社員を叱咤激励していたそうです。
ニュートンはこんなことを言っています。「私が遠くを見ることができたのは、巨人たちの肩の上に乗っていたからです。」これは、自分の発見はガリレオやコペルニクスなどの先人たちの研究があればこその意味です。ニュートンのような天才でも何のてらいもなく先人たちに学んでいて、そしてそれを公表していました。ビスマルクは賢いものは「歴史」に学び、愚かなものは「経験」に学ぶと言っています。自分の経験できることは限られています。一方、「歴史」は失敗と成功のオンパレードです。謙虚に歴史に学ぶ方が賢いということです。最後にもう一つ、「過去から学び、今日の為に生き、未来に対して希望を持つ」。アインシュタインの言葉です。
自分自身の仕事や人生を振り返ってみると、自分で考え実行したことよりも、先人の知恵を真似て実行したことの方が上手くいくことが多かったように思います。天才たちの話では、天才はポッと、単独で生まれるのではなく、天才は天才の知恵を上手く活用できた人が天才と言われるような人になるようです。誰から知恵をもらうのかが、過去は大事な時代だったのですね。最近はインターネットやフェイスブックなどで簡単に有益な情報や先人の知恵を利用できる時代になりました。しかし、情報が多すぎて選択する側の考え方や心のあり方、価値観などが情報収集に反映される時代になったようにも思います。また、集めた情報や知恵をどう使うのかが大事な時代なのだと思います。結局、人ですね。
10年後どうなっているかより、今誰と出会うのかが大事ですね。結局、人ということですね。